Takahashi-Studio

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08.04.24
石黒由紀レクチャー in MAU

設計計画�の最初の授業として、講師である石黒由紀さんのレクチャーがあった。このレクチャーでは、石黒さんの過去から現在施行中のプロジェクトまでを説明していただき、設計計画�ではどのように課題に取り組んでほしいかという石黒さんの考えを学生に伝えるというものだった。 最初は、『隅のトンガリ』と『あざみ野の一戸建』の二つの住宅をみせていただいた。非常に細やかに説明していただき、どういうことを考えながら設計しているかということを知れる、とてもいい機会となった。作品もその説明と同様に、とてもきめ細やかに、緻密に設計されているように感じた。また、外部環境からの建物のボリュームの決定や内部と外部との関係性、内部空間としてのあり方といった、様々な問題をバランスよく解決している印象を受けた。どれかに偏るのではなく、すべてが同等のレベルで考えられていて、さらに全体としてまとめている。そういったところが石黒さんの作家性として垣間見えた。 次に、『調布のアパートメント』を説明していただいた。この集合住宅は実際に、見学させていただいたので石黒さんの説明と実体験とが結びつき非常に理解できた。『調布のアパートメント』で気になったのが“全方向性”というキーワードだ。裏表をなくすということなのだが、言われてみると非常に難しいことであり大切なことではないかと再認識した。もし、現在の都市がこの『調布のアパートメント』のような“全方向性”を持っていれば、都市のあり方が変わるのではないかと想像したりもした。 その他に、『玉川2丁目プロジェクト』や『F-space』といったプロジェクトを紹介していただいた。前者は他の建築家との共同プロジェクトで、後者は現在、施行中のテナントビルのプロジェクトだった。前者は前面の緑との関係性と周辺の建物との関係性や内部での部屋同士のあり方にについて考えられ設計されていた。後者は駅にとても近い敷地で、テナントビルということもあり、周囲からどう見えるかということに焦点があたっていたように思える。また、テナントの中から外部をどう扱うかということも考えられていたのではないかと思う。やはりどちらも外部から、内部からと多方向から等価に設計を進めている。 このレクチャーを通して石黒さんは非常に客観的に設計を進めているということが見えた。石黒さんも理由を3つ以上持って決定するようにしている。とおっしゃっていた。これは説得力という意味でとても重要であると思う。施主さんに、なぜこうしたほうがいいか、ということを論理的に説明できるという点において建築家として非常に重要なことであるように思った。 自分が良いと思うものを相手にどう伝えるか。こういったこともこの設計計画�で学べることの一つのテーマになるのではないかと思う。卒業制作に向けての前段階としてのこの課題は重要な位置にあると思うので、4年生にはぜひがんばってもらいたい。 Written by Katuhiro Yamazaki